スティーブ・ジョブズ

監督:ジョシュア・マイケル・スターン
出演:アシュトン・カッチャー、ジョシュ・ギャッド、アマンダ・クルー、ダーモット・マローニー、マシュー・モディーン、J・K・シモンズ、ルーカス・ハース、ヴィクター・ラサック、エディ・ハッセル、ロン・エルダード、ネルソン・フランクリン、ジャイルズ・マッシー 、ジェームズ・ウッズ
原題:Jobs
制作:アメリカ/2013
URL:http://jobs.gaga.ne.jp
場所:東商ホール(試写会)

偉人の生涯を描く映画は、偉人だからこそエピソードが山ほどあるはずなのに、それを映画として2時間枠に納めなければならないので、選別し、簡潔にし、端折らざるを得なくて、めまぐるしいダイジェスト・ムービーになってしまう場合が多い。となると、どこを楽しむかと云えば、それをどれだけ巧くまとめあげてあるかの編集の妙だけになってしまう。この映画もその手の映画なわけで、まあ、とても奇麗に半生をまとめてあるとはおもうけど、ジョブズのエキセントリックな傍若無人ぶりが2時間枠の中にコンパクトにぴったりと納まってしまっている感じがジョブズっぽくないと云うか、「Think different」とは程遠いと云うか。

それに、養子である生い立ちとか、実母を慕う気持ちと捨てられた憎しみとの葛藤がほんのちょっとしか触れられていないので、おそらくそこから来ているであろうジョブズの性格描写に厚みがまったくないのも映画を平坦なものにしていると云うか。

とは云え、それらを補って余りある自分のAppleへのおもいが映画を面白くさせてしまっているんだけど。ジョブズとAppleがどのような歴史を歩んで来たのかすでに知っているのに、すべてのエピソードにわくわくさせられて、ビル・アトキンソンやジョン・スカリーやジョナサン・アイブなどを俳優が演技している姿に驚喜してしまう。

そして、映画を見終わった後にApple好きな人たちと、「Newton」がセリフとして出てきた! とか、なぜ「HyperCard」は言及されないとか、ああだこうだ語り合うのには最適の映画だった。

→ジョシュア・マイケル・スターン→アシュトン・カッチャー→アメリカ/2013→東商ホール(試写会)→★★★☆