監督:レオス・カラックス
出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーク、デヴィン・マクダウェル、水原希子、福島リラ、古舘寛治
原題:Annette
制作:フランス、ドイツ、ベルギー、日本、メキシコ/2021
URL:https://annette-film.com
場所:ユーロスペース

レオス・カラックスの新作は意外にもミュージカルだった。そしてミュージカルらしく、ストーリーも明快なものだった。うーん、このような平凡なものをレオス・カラックスが撮る意味があるのかどうか? と戸惑っていると、ひとつだけ非凡なことが起きた。スタンダップコメディアンのアダム・ドライバーとオペラ歌手のマリオン・コティヤールとのあいだに生まれた子供にパペット(そしてCG技術によって動かく)を使ったのだ。まるで今は亡きジム・ヘンソンが創作したような赤ちゃんの人形がマリオン・コティヤールから生まれて来たのだ。これにはびっくりした。

マリオン・コティヤールから生まれた子供は、母親からの才能をそのまま受け継ぎ、生まれてまもなく歌を唄い出す赤ちゃんだった。このようなあり得ないことを映像化するときに、いまのCGの技術ならばリアルな実写の赤ちゃんに歌を唄わすことぐらいは可能なのに、なぜレオス・カラックスはあえてパペットを使ったのだろうか?

この部分についてネットなどでよく云われていることは、子供が親の操り人形だから、というものだった。でも、最終的に父親のアダム・ドライバーに利用されていたとしても「操り人形」と云うイメージにはほど遠く、どちらかと云えば赤ちゃんが発する可愛らしさを全面的に抑え込んで、反対に不気味さを強調させていた、くらいの効果しかなかったようにもおもう。

その後、赤ちゃんが成長して、おそらく3、4歳になった段階で、スパッとパペットから実際の子役にスイッチさせて来た。このことは、今度は、子供が親の操り人形から解放された、と云う意味を見出す人もいるようだけれど、それも微妙だった。ストーリーとしては、自我を持ち始めた子供が親を責める段階に来ていたので、そこは実際の子役でのリアルな表情を見せたほうが効果的なんじゃないか、と云う判断ぐらいにしかおもえなかった。

映画を観ているあいだ中、そのパペット→子役のことを、あーだこーだと考えているうちに映画は終わってしまっていた。最終的に、レオス・カラックスにしてはハリウッド的な映画だったなあ、という感想しか残らなかった。

→レオス・カラックス→アダム・ドライバー→フランス、ドイツ、ベルギー、日本、メキシコ/2021→★★★☆