監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
声:小野賢章、悠木碧、宮野真守、乃村健次、小島幸子、上田燿司、岩中睦樹、関智一、田村睦心、木村昴、佐藤せつじ、江口拓也、高垣彩陽、猪野学、興津和幸、鳥海浩輔
原題:Spider-Man: Across the Spider-Verse
制作:アメリカ/2023
URL:https://www.spider-verse.jp
場所:109シネマズ木場

2018年に作られたアニメーション『スパイダーマン:スパイダーバース』は、例えばマーベル・シネマティック・ユニバースの世界における「スパイダーマン」をマルチバースの「アース199999」または「アース616」に、1967年にアメリカで作られたテレビアニメ「スパイダーマン」をマルチバースの「アース67」に、1978年に日本の東映で作られた実写特撮テレビシリーズ「スパイダーマン」を「アース51778」と云うように、過去に作られた様々な「スパイダーマン」をマルチバースの世界の中のひとつとして「アース」に番号をつけて指定している世界観が面白かった。だから次回作は、その「アース」世界がさまざまに絡み合って究極のマルチバース映画になるんだろうと期待していた。

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』は、その様々な「アース」世界の「スパイダーマン」がストーリーに関わりはするのだけれど、結局はこの映画の主人公であるマイルズ・モラレス(アース1610)個人の究極の選択に集約しているところがとても世界を狭めてしまっているようで、それって広大なマルチバースの世界観は必要なの? っておもってしまった。

それにマルチバースの世界観は複雑すぎて、ゴリゴリのSFが好きな人ならばその複雑な設定にテンションが上がるのだろうけれど、一般人にとっては振り回されて、こねくり回されて、フラフラな思考状態になるだけだった。その結果、映画が終わってからの観客のどよめきがすごかった。これっていったい何? 140分も使って「つづく」なの? 状態だった。

アニメーションの手法が斬新でかっこ良かったので、もっとストーリーを整理して、90分くらいで「つづく」なら素晴らしかったのに。

→ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン→(声)小野賢章→アメリカ/2023→109シネマズ木場→★★★