雲晴れて愛は輝く

監督:ハワード・ホークス
出演:ジョージ・オブライエン、ヴァージニア・ヴァリ、ウィリアム・パウエル、トーマス・ジェファーソン、J・ファーレル・マクドナルド、フランシス・マクドナルド、ハンク・マン
原題:Paid to Love
制作:アメリカ/1927
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場所:東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール

今年の東京国際映画祭の一環として企画された「N.Y.近代美術館映画コレクション」には観たい映画がいっぱいあったけど、結局は体調を崩したこともあってこのハワード・ホークスのサイレント映画だけしか観ることができなかった。でも、そのたった1本の映画のピアノ伴奏が新垣隆と云う豪華さで、想像していたよりも生ピアノの心地良さにびっくり。最近よく生ピアノ伴奏付きのサイレント映画があちこちで上映されていたけど、これはもっと体験しておくべきだったと反省しきり。

このハワード・ホークスの監督としての4作目は、まるで教科書のような映画だった。物語の構成や場面展開、笑わせるツボを押さえた演出のどれをとっても基本となるような映画で、ハワード・ホークスのその後の綺羅星のごとく輝く映画群のスタートラインに立つ映画としても納得のできる映画だった。人物の動きで説明する必要のあるサイレント映画で培った演出術のベースがあるからこそ、例えば『リオ・ブラボー』での寡黙なジョン・ウェインの存在感を引き立たせることができるのだ。

自分の隣に座った学生とおぼしき人が暗闇の中で器用に、しきりにノートを取っていた。いつもなら映画を楽しんでいないそんな行為に憤慨するところだけど、このお手本となるような映画ならノートを取るのも当たり前だなと変に納得してしまった。

→ハワード・ホークス→ジョージ・オブライエン→アメリカ/1927→東京国立近代美術館フィルムセンター大ホール→★★★★