紙の月

監督:吉田大八
出演:宮沢りえ、池松壮亮、大島優子、田辺誠一、小林聡美、近藤芳正、石橋蓮司、伊勢志摩、佐々木勝彦、天光眞弓、中原ひとみ
制作:「紙の月」製作委員会/2014
URL:http://www.kaminotsuki.jp
場所:ユナイテッド・シネマとしまえん

角田光代の小説「紙の月」は、原田知世主演ですでにNHKがドラマ化していて、それを何となくダラダラと、そんなに熱中することもなく見てしまった。だから、ぼんやりとストーリーを理解してしまったので、この映画を見る楽しみと言えば原田知世と宮沢りえの女優比較をするくらいしかないのかな、とおもっていたところにいきなり小林聡美が切り込んで来た。

宮沢りえが勤めている銀行の同僚で「お局」的な存在を演じている小林聡美は、おかっぱの髪形には乱れが一つもなく、仕事上の些細なミスも許さない何事にもキッチリとした性格で、同僚の女性の服装や装飾品の変化までチェックして、銀行員としての品行方正さに目を光らせている(と言うシーンは出てこないけど、大島優子の言動からそんな感じ)ようなカタブツの女性銀行員。この映画は、次第に変化して行く宮沢りえとこの小林聡美とを比較することにポイントを置いて、二人の対決をラストのクライマックスに持って来るような構成となっていた。このようなシーンはテレビドラマには無かった。いや、小林聡美が演じているキャラ自体が無かったような気がする。とすると、映画用の創作なのか。原作を俄然読みたくなってしまった。

小林聡美のセリフのシーンにはクローズアップを多用していて、表情をあまり見せない能面のような顔がスクリーンいっぱいに広がるのはインパクトがあった。そのあまりの強烈さに宮沢りえが霞んでしまったほどだった。いわゆる、主役を食ってしまっていた。

→吉田大八→宮沢りえ→「紙の月」製作委員会/2014→ユナイテッド・シネマとしまえん→★★★☆