恐怖分子

監督:エドワード・ヤン(楊徳昌)
出演:コラ・ミャオ(繆騫人)、リー・リーチュン(李立群)、チン・スーチェ(金士傑)、クー・パオミン(顧寶明)、ワン・アン(王安)、マー・シャオチュン(馬邵君)
原題:恐怖份子
制作:台湾/1986
URL:http://kyofubunshi.com
場所:シアター・イメージフォーラム

さまざまな境遇の人たちを同時並行に描いて、それぞれのタイムラインが前後したり、時には交わったり離れて行ったりするような、まるで網の目のようなドラマ形式の群像劇が大好きだ。エドワード・ヤンの『恐怖分子』はその手のジャンルの映画だった。ただ、エドワード・ヤンの映画は説明過多には陥らない。いや、どちらかと云うと、ストーリーを追う上で重要ともおもわれるシーンを省略してしまっている。気持ち良いくらいにすっぱりと。

賞を取ったコラ・ミャオの小説はどんな内容だったんだろう?
ラストの夢ともおもえるシーンはその小説の内容とオーヴァーラップしていたんだろうか?
もしかしたらこの映画自体がコラ・ミャオの小説なのか?

映画を見ている我々に対して、手取り足取り説明しないぶん、想像の余地が無限に広がる。勝手な解釈がどんどんと膨らんで行く。エドワード・ヤンの映画の面白さはまさにそこにある。この映画をもう一度見たら、また何か違ったことを想像してしまうかもしれない。それはおそらくエドワード・ヤンが意図したものではないのかもしれないけど。いや、エドワード・ヤンはそういう行為をも意図していたはずだ。

→エドワード・ヤン(楊徳昌)→コラ・ミャオ(繆騫人)→台湾/1986→シアター・イメージフォーラム→★★★★