やさしい女

監督:ロベール・ブレッソン
出演:ドミニク・サンダ、ギイ・フライジャン、ジャン・ロブレ
原題:Une femme douce
制作:フランス/1969
URL:http://mermaidfilms.co.jp/yasashii2015/
場所:新宿武蔵野館

ロベール・ブレッソンの映画は、役者がブレッソンの指示通りに、正確に動いている様子をしっかりと見てとることが出来る映画だ。それもブレッソンが役者の演技行為を極端に嫌うので、下手をすると感情がないロボットのようにただ単純になぞっているようにも見えてしまう。そして時には、その役者の動きにいったい何の意味があるんだろう? とおもわされるところにも不思議な感興をそそる映画が多い。

例えば、この『やさしい女』ではドミニク・サンダが、

・テレビを付ける。F1レーシング中継が映る。
・風呂場に入る。
・裸にバスタオルを巻いて出てくる。
・F1レーシング中継が映っているテレビの前に立つ。
・バスタオルがひらりと落ちて、全裸の後ろ姿が見える。
・落ちたバスタオルをまた体に巻く。
・再度、風呂場に向かう。

と云うシーンがある。この一連の動きにはいったい何の意味があるんだろうかとおもわされるけど、たぶん、このシーンそのものにはあまり意味がない。この映画は、ドミニク・サンダの魅力を最大限に発揮させる映画でもあるので、ドミニク・サンダの奇麗な全裸の後ろ姿、を見せるためにこのシーンはあるのかもしれない。

ロベール・ブレッソンの映画はストーリーを楽しむと云うよりは、ブレッソンの設計図が役者によって組み立てられているさまを楽しむ映画なんだろうとおもう。それを面白く感じるかどうかは、さまざまなタイプの映画を体験してきた結果によるところが多いとおもう。

→ロベール・ブレッソン→ドミニク・サンダ→フランス/1969→新宿武蔵野館→★★★☆