神様なんかくそくらえ

監督:ジョシュア&ベニー・サフディ
出演:アリエル・ホームズ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、バディ・デュレス、ロン・ブラウンスタイン
原題:Heaven Knows What
制作:アメリカ、フランス/2014
URL:http://heaven-knows-what.com
場所:新宿シネマカリテ

邦画の『恋人たち』『ハッピーアワー』と来て、その延長線上にあるようにも見えてしまうアメリカのインディペンデント映画『神様なんかくそくらえ』を観た。『恋人たち』と『ハッピーアワー』がとても素晴らしかったので、『神様なんかくそくらえ』も同じように当たりなんじゃないかと予想したのだ。

男から「死ねるのなら、死んでみろ!」と云われて、女が手首を切って血があふれ出すシーンから映画は始まった。

うわっ!と、まずはこれで精神的な打撃を受けてしまった。自分にとって、これはきつかった。そこから立ち直れないでいるうちに、冨田勲のシンセサイザーがその傷ついた精神を逆撫でするような音楽に聞こえてしまってさらに気分が悪くなってしまった。

こうなると何もかもが不快だった。映画の中のどの登場人物に対しても感情を寄せることが出来なくなってしまった。路上生活に落ち込んでしまう人たち、そしてそこからクスリに手を出してしまう人たちは、我々の社会構造が作り出してしまう澱のようなものだと理解していながらも、彼らの精神の弱さ、幼稚さを攻撃したくなるような気分にさせられてしまった。

この映画の中の主人公ハーリーを演じたアリエル・ホームズは、自分自身のニューヨークでの路上生活を元にした手記「マッド・ラブ・イン・ニューヨークシティ」を書き上げ、その映画化の際には演技経験が無いにもかかわらず主人公の自分自身を演じることになった。彼女自身にとってはどん底から抜け出せるきっかけとなって良かったとはおもうけど、まあ、なんとも、個人的には不快な映画だった。

→ジョシュア&ベニー・サフディ→アリエル・ホームズ→アメリカ、フランス/2014→新宿シネマカリテ→★★