監督:ダグラス・サーク
出演:ジョン・キャラダイン、パトリシア・モリソン、アラン・カーティス、ハワード・フリーマン、ラルフ・モーガン、エドガー・ケネディ、ルドウィッグ・ストッセル、アル・シーン、エリザベス・ラッセル、ジミー・コンリン
原題:Hitler’s Madman
制作:アメリカ/1943
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場所:シネマヴェーラ渋谷

ドイツで映画を撮っていたダグラス・サーク監督は、妻がユダヤ人であることからナチスの迫害を恐れ、1937年にアメリカへと亡命し、ハリウッドへ渡ってからはじめて撮った映画が反ナチスの映画『ヒットラーの狂人』だった。

『ヒットラーの狂人』の中に、ナチスの親衛隊大将および警察大将、そしてボヘミアの護民官であるラインハルト・ハイドリヒが出てくる。演じているのはジョン・キャラダイン! ジョン・キャラダインと云えばジョン・フォードの映画でおなじみの俳優で、『怒りの葡萄』での演技は忘れられない(このブログのタイトルバックに勝手に写真を使っている)。で、そのジョン・キャラダインが演じているラインハルト・ハイドリヒが素晴らしい! 「金髪の野獣(Die blonde Bestie)」とあだ名を付けられた極悪非道の人物像をイメージ通りにビジュアル化させている。この映画の中のどこに目が向いてしまうかと云えば、間違いなくジョン・キャラダインだった。

ダグラス・サーク監督と云えば、のちにユニヴァーサルでの一連のメロドラマが代表作になるんだけど、このハリウッド初の映画でもそのスタイルはすでに固まっていて、自分の生まれたチェコの町へパラシュート降下するカレル(アラン・カーティス)とその恋人ヤミラ(パトリシア・モリソン)の描写や、ナチスとレジスタンスとのあいだで苦悩するヤミラの父(ラルフ・モーガン)の行き場の無さなどはまさしくダグラス・サークだった。

→ダグラス・サーク→ジョン・キャラダイン→アメリカ/1943→シネマヴェーラ渋谷→★★★☆