監督:是枝裕和
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子
制作:「怪物」製作委員会/2023
URL:https://gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
場所:109シネマズ菖蒲

是枝裕和監督の『怪物』の予告編を観たとき、表面に見えるものからは計り知れない奥底に潜む本質があぶり出される過程を楽しむ映画ではないかと想像して、あんまり是枝裕和監督の映画を積極的に観ようとはしないのだけれど、今回ばかりは面白そうにおもえたので映画館に足を運んだ。

是枝裕和の映画を観ると、いつも何かに引っかかって、そこにこだわり続けて映画が楽しめなくなる場合が多い。今回もそうなってしまった。

『怪物』は3つのパートに別れていて、最初は自分の子どもが担任教師から不当に体罰を受けているのではないかと学校に乗り込む母親役の安藤サクラから見た視点のパートだった。そこでの学校側の対応があまりにも酷くて、とくに田中裕子が演じる校長先生にまったくリアリティを感じられなくて、そこに引っかかってしまった。母親の安藤サクラから見れば担任教師の永山瑛太や校長の田中裕子は「怪物」に見えて、その点を強調させるための人物像だったのだろうけれど、少なからず小学校教育に関わる身としてはどうしてもその校長像に真実味を見い出せなかった。たとえ校長自身に不幸があったとしても、あそこまで心の無い校長は日本全国どこを探してみてもいないとおもう。

2つめのパートは担任教師の永山瑛太から見たパート。永山瑛太から見れば、安藤サクラの息子の湊(みなと)は「怪物」だった。3つめのパートはその湊(みなと)からの視点で、湊(みなと)から見れば同級生の星川依里(ほしかわより)が「怪物」だった。このように、結局は他人のすべてを理解できることはできなくて、その知られざる部分に「怪物」を見出してしまう。

坂元裕二の脚本は、それなりに面白い構成にはなっていた。でもなあ、あの学校の対応はまったく無いなあ。安藤サクラの息子の湊(みなと)が以前に担任をしてもらった先生のことを「良い先生」と評価しているのに、その「良い先生」がまったく今回のことに意見を挟まないのも腑に落ちない。この学校側の対応部分をもう少し工夫してほしかった。

→是枝裕和→安藤サクラ→「怪物」製作委員会/2023→109シネマズ菖蒲→★★★