監督:テレンス・マリック
出演:アウグスト・ディール、ヴァレリー・パフナー、ミカエル・ニクヴィスト、ユルゲン・プロホノフ、マティアス・スーナールツ、ブルーノ・ガンツ
原題:A Hidden Life
制作:アメリカ、ドイツ/2019
URL:http://www.foxmovies-jp.com/namonaki-shogai/
場所:新宿シネマカリテ

最近のテレンス・マリックの映画は、『ツリー・オブ・ライフ』にしても『トゥ・ザ・ワンダー』にしても『聖杯たちの騎士』にしても、ストーリーが素直に表面へ出てくるわけではないので、ただ、ただ、綺麗な映像を断片的に見せられているだけの印象に陥ってしまう。テレンス・マリックの映画が好きなものにとっては、その紡いだ映像の断片から彼が語ろうとしていることを探って、解き明かすことに快感があったりはするのだけれど、でもテレンス・マリックのファンでもない人にとっては退屈な映画にも見えてしまうのかもしれない。

ところが今回の『名もなき生涯』は、最近の手法を使わずに、テレンス・マリックの初期の作品『天国の日々』のようにしっかりとストーリーを語っていたことにはびっくりした。これだけ明快にしてくれれば、誰が見ても感動させられるだけのちからはテレンス・マリックの映画にはあるので、みんなに面白いぞと薦めることができる。とはいえ、単純な映画になってしまったなあ、と云う寂しさはちょっぴり。

自分の信念に基づいて、はたから見れば「犬死に」にも見える「死」を選ぶ男のストーリーは、フレッド・ジンネマンの『わが命つきるとも』(1966)をおもい出してしまった。そして、ラストのジョージ・エリオットの小説からの引用が、鑑賞後の余韻をひっぱるのに大きな貢献をしていた。

歴史に残らないような行為が世の中の善を作っていく
名もなき生涯を送り、今は訪れる人もない墓にて眠る人々のお蔭で
物事がさほど悪くはならないのだ

→テレンス・マリック→アウグスト・ディール→アメリカ、ドイツ/2019→★★★★