監督:ホン・サンス
出演:オ・ユノン、ペク・チョンハク、キム・ユソク、パク・ヒョニョン
原題:강원도의 힘
制作:韓国/1998
URL:https://apeople.world/hongsangsoo/
場所:ユーロスペース

エリック・ロメールの次にホン・サンスを観る。

小説を原作としたデビュー作『豚が井戸に落ちた日』と違って、自らの着想から始まったオリジナル作品というという点でもこの『カンウォンドのチカラ』がホン・サンス映画の原点と言える作品、だそうだ。『豚が井戸に落ちた日』を観ていないのでなんとも云えないのだけれど、いつもホン・サンスの映画には必ずと云って良いほどに登場するテーブルを挟んでの食事上での会話シーンが、確かにこの『カンウォンドのチカラ』には何回も出て来る。すでに2作目にして、現在のホン・サンスの映画に通ずるスタイルが確立したってのは、そうなのかもしれない。

『カンウォンドのチカラ』は、前半がオ・ユノンが演じる大学生イ・ジスクたち女三人組の江原道(カンウォンド)への小旅行の話し。後半はペク・チョンハクが演じる大学講師が後輩に誘われてやはり江原道へ行く話し。映画を観ているだけでは、前半から後半へと、普通に時間軸が進んで行くように見えた。でも、細かなエピソードが前半と後半の双方に出てきて、この2つが同じ時間を共有していることがだんだんとわかってくる。ただ、二人の主人公が交わることはない。微妙にすれ違っているだけなので、大きくストーリーが展開することはない。

映画を観たあとにネットでストーリーを確認すると、前半に出て来る大学生のオ・ユノンと後半に出て来るる大学講師のペク・チョンハクは別れたばかり恋人同士なんだそうだ。ペク・チョンハクには奥さんも子供もいるから不倫カップルと云うことか。その二人が同じ場所で、同じ時間を共有していながらも決して出会うことはなくて、唯一の接点はオ・ユノンがお寺に落書きした「もう少し長い呼吸で待っていよう」をペク・チョンハクを見つけるところだけ。そうか、全体の構成はそういうことだったのか。ああ、ホン・サンスは巧いなあ。観終わったあとにジワジワくる良い映画だった。

→ホン・サンス→オ・ユノン→韓国/1998→★★★☆