監督:ホン・サンス
出演:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、ソン・ソンミ、キム・セビョク、イ・ユンミ、クォン・ヘヒョ、シン・ソクホ、ハ・ソングク
原題:도망친 여자
制作:韓国/2020
URL:https://nigetaonna-movie.com
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町

ホン・サンスとキム・ミニのコンビによる7本目の映画。

5年間の結婚生活で一度も離れたことのなかった夫の出張中に初めてひとりになった主人公ガミ(キム・ミニ)は、ソウル郊外の3人の女友だちを訪ね歩いて行く。

女友だちと会う3つのパートを見ていくうちに、タイトルの「逃げた女」とは何を意味するのだろうかと考え始める。主人公のガミ(キム・ミニ)は絶えず夫との仲の良さを強調するので、それがまったくの嘘でないかぎり、夫から「逃げた女」では無いことになる。となると、何から逃げているのか? それとも、それぞれが微妙な立場にいる女友だちのことを指しているのか?

映画のタイトルのことが最後までモヤモヤしていたので、映画を観終わったあとにネットを検索してみた。すると、ホン・サンスへのインタビュー記事があった。

https://www.cinemacafe.net/article/2021/06/21/73453.html

これを読むと「実は誰かは決めていなかったんです(笑)」と云っている。さらに「私が望むのは、どんな意味付けもすることなく、いかに断片を集めてこられるかということ」とも云っている。ああ、なるほど。ホン・サンスの映画って、どの映画でも、断片的に現れる会話シーンを楽しむ映画ばかりで、そこから何を得られるのかは見る側にかかっているような気もする。だから今回の映画でも、主人公のガミ(キム・ミニ)と女友だちとの会話から映画を観る側が「逃げた女」を感じ取れれば良いように作られている。

どんなに満足な状態でも、かえってそれがアダとなって逃げ出したくなる場合もあるわけだし、主人公のガミ(キム・ミニ)と夫との関係もそんなふうに捉えることもできてしまう。ひいてはキム・ミニとホン・サンスの関係だったりして、、、

→ホン・サンス→キム・ミニ→韓国/2020→ヒューマントラストシネマ有楽町→★★★☆