監督:宮﨑駿
声:山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、風吹ジュン、大竹しのぶ、阿川佐和子、火野正平、小林薫、竹下景子、國村隼、滝沢カレン
制作:スタジオジブリ/2023
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場所:109シネマズ木場

2013年にスタジオジブリから宮崎駿が『風立ちぬ』を最後に長編映画の制作から引退することが発表された。出た! またやめるやめる詐欺だな、とはおもったけれど、そこは厳粛に受け止めることにした。でも、絶対にいつかはカムバックしてくると確信していた。

案の定、2017年に宮崎駿が長編映画の制作に復帰したことが鈴木敏夫から公表された。宮崎駿自身は「自分は引退中であり、引退しながらやっている」と云っているらしい。うーん、「引退」とは?

「引退しながらやっている」の意味として考えられるのは、みんなが期待しているようなジブリ映画ではないものを作っている、ではないかとおもって、そこ一点だけを期待して観に行った。

ところが、普通の宮崎駿のジブリ映画だった。世界観の設定、キャラクターの役割、ストーリー展開と、すべてが今まで通りだった。だとしたら、引退しながらもこの映画を作る意義がどこにあるのかと。ひとつの手がかりとしては、2013年の引退会見のときに宮崎駿が云っていた「この世は生きるに値すると子供に伝えたい」だった。英国の児童文学作家のロバート・ウェストールが云った「この世はひどいものである。君はこの世に生きていくには気立てがよすぎる」を引き合いに出し、これからの世代を担う子どもたちに「この世は生きるに値する」について考えながら生きてほしいとのメッセージを残していた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNZO59386140W3A900C1000000/

その引退時のおもいを実現させたのがこの『君たちはどう生きるか』ではなかったのか。だから「引退」しながらも作る必要があったのではないか。これで宮崎駿は本当に引退するかもしれない。

→宮﨑駿→(声)山時聡真→スタジオジブリ/2023→109シネマズ木場→★★★☆